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ヴィクトリア朝様式の煙突横に設ける、空間に馴染む造作家具
2026年7月19日

英国の住宅において、暖炉の両脇にできる2つの窪み(アルコーブ)は、最もデッドスペースになりやすい場所です。その空間を最大限に活かすための設計手法をご紹介します。
英国のヴィクトリア朝やエドワード朝時代のテラスハウスの多くは、共通の構造を持っています。それは、部屋に突き出した煙突(チムニーブレスト)とその両脇にある窪みです。これらの窪みは左右で幅が異なることが多く、角も直角ではなく、規格品の家具が収まるサイズであることはまずありません。置き家具を置くとどこか違和感が生じるのは、そのためです。
部屋ではなく「壁」を測る
古い住宅の漆喰壁には必ずといっていいほど傾きがあります。そのため、私たちは各アルコーブの床付近、腰高、そしてピクチャーレールの高さの3箇所を正確に測定します。最小の測定値に合わせてキャビネット本体を製作し、壁との隙間は「フィラー」と呼ばれる調整材で埋めることで、たとえ壁が傾いていても、家具の前面は完璧な垂直を保つことができます。
下段は隠し、上段は魅せる
英国のほとんどのリビングルームで美しく収まる黄金比は、腰の高さほどまでは扉付きの収納にし、その上をオープンシェルフにする構成です。下段の収納はルーターやボードゲーム、書類などを隠し、上段をオープンにすることで圧迫感を抑えます。25mm厚の北米産ブラックウォールナット無垢材を使用した棚板なら、一般的な900mm幅のアルコーブでも中央の支えなしで美しく渡すことが可能です。
幅木とコーニスの調和
造作家具と市販の組み立て家具を分ける決定的なディテールは、既存の幅木(はばき)のデザインを家具の底面にも通し、天井のコーニス(廻り縁)をユニットに自然に繋げることです。私たちは現調時に既存のモールディングの型を取り、工房でそれらを精密に再現します。
納品までの流れ
左右一対のアルコーブ家具の場合、図面確定から設計・製作・施工まで、通常10〜12週間ほどお時間をいただきます。まずは暖炉のある壁面の写真と大まかな幅をお送りください。折り返し、初期診断とご提案を差し上げます。
